平田満 つかこうへい氏からの「下衆な芝居はするな」の教え

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 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、大学の学内劇団に入団して役者を始めた俳優の平田満が、劇作家で演出家のつかこうへい氏に見出され職業俳優となった当時の思い出について語った言葉についてお届けする。

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 平田満早稲田大学に入学して間もない一九七一年、学内の劇団「暫」に入団、役者としての第一歩を踏み出す。

「高校時代に演劇をやっていたわけではなく、全く知らない世界でした。たまたま新入生歓迎公演をタダで見せてもらったんです。それが千秋楽で、終わったら劇団員は残って片づけている。僕はタダで見せてもらったから手伝って、そのまま打ち上げに参加して、そのままずるずると。付和雷同型なんです」

 劇団暫は当時気鋭の演出家・つかこうへいと組んで公演をすることになる。平田はそこに抜擢された。

「戯曲の読み方も分からないし、凄く恥ずかしい。自分には向いてないと思って三か月で辞めようとしました。そのことを座長に告げに喫茶店に行ったら、なんか大盛り上がりしているんですよ。『つかさんが劇団の作演出をする』って。

 僕はつかさんを知らなかったんですが、若い連中の間では認知度が上がっていたんですよね。僕は『困ったな、辞めるんだけどな』と思っていたんですが、座長に『面白いから、騙されたと思って参加してみなよ』と言われたんです。オーディションで三十人くらいから五~六人が選ばれるんですが、なぜかその一人に僕が選ばれてしまいまして」

 つかの演出は、台本に沿って演技指導していく従来のスタイルではなく、ほとんど台本がない中で自ら役者に口立てでセリフを伝える、当時では珍しい独自のやり方を採っていた。

「『こうすれば良くなる』という演出ではなく、口立ての時に『俺のニュアンスは分かるだろう』という感じでした。

 僕自身は自分がどうやりたい、というのはありませんでしたね。つかさんの要求に応えるので精一杯でしたし、つかさんに与えられたものをやるのが表現だと思っていましたから。

 つかさんも、『上手くなれ』とは決して言いませんでした。むしろ、『お前も上手くなったもんだな』と皮肉めいて言う。『上手くなった分、人間としてすれちゃったな』という意味なんでしょう。その時のその人間が面白かったり魅力的になるように演出されていましたから、それができないのは『お前が悪い』ということなんですよ。 

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